当院では診察の状況次第で休職を要する旨の診断書を発行し、休職期間に入っていただくことがあります。
よく聞かれるのは、休職中(自宅療養中)はどのように休んだらよいか、どのように過ごせばよいか、ということです。
私なりに3段階に分けて、休職中の過ごし方を説明致します。
もちろん、すべての人に共通して当てはまるものでありません。
個人差は常にあるものとご理解ください。

一般的に、まず診療所にたどり着く段階では、心身共に疲弊した状態です。憂鬱な気持ちや無気力感に毎日襲われており、厳しい疲れが心身に蓄積しております。動悸や頭痛や倦怠感等の身体症状を認め、ベッドから起き上がれないといったことも珍しくありません。休職開始直後は今まで蓄積した疲労が一気に出てくるため、1~2か月ほどは自室内で生活を送ることが精いっぱいな状態となります。見守ってくれる最低限の人(家族や恋人、友人)と交流を行いながらまずは心身の回復を最優先し、家の中で動ける状態、家事が最低限出来る状態を目指すことになります。

心身ともに落ち着いてくると、おのずと外出への意欲が出てきます。仲の良かった同僚や旧友と連絡をとったりすることができるようになってきます。しかし、注意しなければならないのは易疲労感です。会った時は愉しいけど、帰り道に異様な疲労感が襲ってきて、ともすれば情緒不安定になり、そのまま家で1日中何も考えられずに寝てしまう、といった方が多く見受けられます。休職中、一番大事な期間ともいえるこの時期ですが、社交を回復させていく中で、自身の無理のないペースで進んでいく、そのペースを見出すことが必要となります。その期間は、数カ月単位に及ぶこともあり、個人差は大きい部分です。無理をすれば、再び眠れなくなったり、体に異変が起きたりして、今までのようにうまくいかず失望してしまう部分はあるわけですが、むしろ、自身のペースをつかむチャンスととらえ、自身のこれまでを自問し、振り返る良い機会になります。

無理をしないような生活を続けることで、おのずと活動範囲は広がっていき、現実の社会生活に直結する人々、職場の上司や人事、保健師、産業医とも連絡をとれるようになっていきます。人間関係の中で、安心感を再び得られていくことで、職場復帰のイメージは現実的に自然に考えることができるようになっていきます。ただ、ここはどうしても「少しの勇気」が必要になるところであり、落とし穴が隠れる部分であり、慎重に見守っていく必要があります。
休職中の方に、状況に応じて傷病手当金支給申請書を作成することが出来ます。
診察時にご相談ください。